父と母を、小さな瓶に納めて
家へ連れて帰った娘さん。
すぐに次の場所を決めることはせず、
しばらく一緒に暮らすことにしました。
そんなある日、
いつものように庭へ出てみると――。




「……ここに、あったんだ」
小さな瓶と一緒に暮らし始めて、
しばらく経ったある日。
いつもの庭で、
娘さんの手がふと止まりました。
目の前にあったのは、
お母さんがいつも手入れしていた木。
遠くに新しい場所を探さなくても、
大切な人を想える場所は、
すぐそばにあるのかもしれません。
まだ、何も決めていません。
でも、それでいいのかもしれません。
急いで答えを出さず、
一緒に暮らしながら考えていく。
それもまた、
供養のかたちのひとつです。
― 手元供養編 おわり ―
